脈絡

読み難い

通学路の犬の話

 

通学路には犬が居る。特に朝、散歩をしている犬が多い。

 

まだ仔犬のテリアと、それよりすこし年上くらいのテリア。ゆらりとした綺麗なボルゾイ。ベージュのブルドッグ。いかにも猟犬らしい小型犬、大きな2匹のプードル、茶色の柴犬と黒い柴犬。白黒の雑種の中型犬。白いシェパード、小柄な茶色のハスキー。

 

綺麗だよね、なんだか 人間に連れられて歩いているけれど、生きている感じがするしわたしも好きだから自然と微笑む。向こうは大抵 犬好きなひとだよね!!って顔してこっち来ようとするけどその度に連れてる人に引っ張られてる。

 

犬好きなひとだよ。

 

ほんとは学校のこととか全部放り出して一日中その子らと遊んでたいな。制服とかどうでもいいから抱き締めたいな。犬、良いよなあ。

 

でも現実は、わたしはただひとりで微笑むだけ、連れてるひとは犬を引っ張っていく、犬はほんの少しの間だけ残念そうな顔をするけれどすぐに他のものに興味を示して、わたしのことは元から無かったかのように散歩の続きをはじめる わたしだけがこのことを忘れられずに犬のことを心に留めておく。

 

 

犬も種類によっては多分触り心地とかも違うだろうな。今朝みたボルゾイ、きっと抱き締めれば壊れてしまうだろうな、と思うくらい細っそりとつくられてた。いつも必死でこっちに来ようとする小柄なハスキー、あの子は揉みくちゃにしても大丈夫そうだ。子供のテリアは、あれは掌に収まる気がする。

 

犬も温かい。犬はすこし硬い。ふるさとの死んだ犬のことを思い出す。彼らには見た目からわからないくらいの力があったのをわたしは見ていた。 死んだならあの子らに会えるのかしら。それとも犬だけで暮らしているのかしら。通学路の犬たちは、死んだときにふるさとの犬と会えば、わたしのことを伝えてくれるだろうか、全くの他人ではあるけれど、すこしの噂でも流してもらえれば良いのにな。